エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
私が責任を感じると思って、黙っているの? もしかして、転勤先はものすごく田舎で、もう二度と第一線には戻れないような、窓際部署だったり……?
悪い想像ばかりが膨らんですっかり食欲をなくした私に、志保が気遣うようにそっと声をかけてくる。
「とにかく、今日仕事の後で本人に確認してみなよ。不確かな情報だけで色々勘ぐってもしょうがないから」
「うん……」
その日はさすがにお気に入りのオムライスを食べる気が起きず、トマトリゾットを少なめの量で注文したけれど、それすら完食できなかった。
地検の庁舎に戻り、執務室までの廊下をトボトボ歩いているところで、後ろから「浅見さん」と呼ばれた。
振り向いた先にいたのは益子検事で、私を気の毒そうな目で見つめて言う。
「聞いたわ、津雲検事のこと。寂しくなるわね」
「え、ええ……。そうですね」
益子検事も知っているんだ……。もしかして、知らないのは私だけ?
ますます落ち込んだ顔をすると、益子検事が私の肩にそっと手を置く。