エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
「有能な彼を妬む奴らが、なんだかそのことに関して色々あることないこと言っているみたいだけど、あなたは気にしちゃダメよ? 堂々としていなさい」
「堂々と……」
しかし、交際しているのは事実だ。週末だけ会うという約束も段々と緩んでいき、平日に彼のマンションに泊まることもしばしばある。
端から見たら、やっぱり検事と事務官がそういう関係になるのは、なんとなく不道徳な感じがするよね……。
私と親密な関係になったせいで、大雅さんのキャリアに傷がついて、検事としての未来が奪われてしまうなんて……想像するだけで耐えられない。
大雅さんはこれから、もっともっと高みで活躍していく検事なのだ。
私なんかのことで将来を棒に振るなんてダメだよ……。
私は唇をギュッと噛みしめ、ある覚悟を決めると、益子さんに会釈をして踵を返した。
執務室に向かう足取りは重く、涙をこらえた目の奥が痛い。
耐えなさい、和香菜。これは、正義のための決断なのよ――。
昼休みから戻ると、私はつとめて平静を装って仕事をした。
緊張の糸を無理やりぴんと張り、いつも大雅さんがそうしているように、ポーカーフェイスを保つ。