エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
そこでつい昨夜の甘いシーンが脳内再生され、それをかき消すように首を振る。
いやいや、どんなに彼が素敵な男性でも、私たちの間には恋愛感情がないじゃない。こんな気持ちで結婚なんて、できるわけない。
「津雲さんが力不足とかそういうことではなく、やっぱり結婚って好きな人とするものだと思うんです。でも、私たちはあくまで仕事のパートナーであって、そういう関係では――」
「ああ……それなんだが、浅見」
津雲さんがそう言って、ゴホンと咳ばらいをする。心なしか緊張の面持ちだ。
その改まった様子に首を傾げていると、彼は自分でも少し戸惑っている、という様子で、静かに告白した。
「俺はどうやら、きみに惹かれているらしい」
「えっ……。ええっ……!?」
私はあまりの衝撃で、ベッドの上で大きくのけ反った。
ど、ど、どうして? いつの間にそうなったの?
「気づいたのは、昨夜。気づかせたのは、あの弁護士だ」
「弁護士……三船さん?」
「ああ。あいつは女遊びが激しいことで有名でね。そんな男と浅見が会話をするのを見ているだけで腹が立った。同じ空気を吸わせるのすら嫌だった」