エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

 笑いながらそんな会話をしていて、ふと思う。

 なんか、楽しいかも。津雲さんとの、こういう他愛のない時間。無理してないって言うか、自然体でいられるっていうか……話しているだけで心が元気になる感じ。

 これなら……結婚を前向きに考えてみるのも、アリなのでは?

「あのっ」

 私はかしこまって、大してずれていない眼鏡の位置を直し、彼にある提案を持ち掛けた。

「お試し期間……のようなものがあると、大変うれしいんですが」
「お試し期間?」
「はい。さすがに、交際もしていない状態でいきなり結婚というのは、のちのち価値観の違いなどですれ違ったりする恐れもありますし」

 津雲さんとなら、その辺もあまり心配ない気もするけど……結婚は人生の一大イベントというじゃない? 念には念を入れないと。

「……確かにな。しかも、俺たちが結婚したら、公私混同を避けるためにどちらかの異動は免れないだろう。しかし、俺はまだ東京地検でやるべきことがある」
「私もです。立会事務官として、津雲さんのおそばで学ぶべきことが、まだまだたくさんあります」

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