エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
そして昨年の春、念願の捜査公判部門に配属され、同時期に赴任してきた津雲大雅検事の立会事務官になった。
その名の通り、津雲さんが行う被疑者や関係者の取り調べに立ち会い、彼の傍らで調書を作成するほか、私自身が取り調べのやり取りに参加することもある。
その他、関係各所への連絡、公判手続きなどの事務的な仕事が多いが、時には津雲さんとともに、警察の補充捜査をしたりもする。
勉強しなければならないことは山積みだけれど、仕事はとてもやりがいがあるので、充実した毎日だ。
その日の昼休憩の後、私が執務室でメールチェックをしていると、数分遅れで津雲さんが執務室に戻ってきた。
身長百八〇センチ強と長身な彼。そのすらりとした体躯に三つ揃えのスーツがよく似合い、三十二歳という年齢相応の、落ち着いた大人の雰囲気を醸し出している。
「浅見。午後の取り調べは?」
デスクの椅子に腰掛けながら、津雲さんが私に尋ねる。
優秀な検事である彼は、抱えている事件の数も膨大。なのですべてを覚えきれず、こうして立会事務官の私に確認することもしばしばだ。
私は立ち上がり、警察から送られてきた捜査資料を手渡しながら答える。
「渋谷のコンビニ強盗で現行犯逮捕された勝又組の残党、小宮という男です。警察の方ですでに罪は認めているそうなので、とくに難しくはないでしょう」
「勝又組……まだあの組織は裏で動いてるのか?」