エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
『……断然白米だな』
「ということは、ちゃんと自炊するんだ……」
『まあな。特に朝は、ちゃんと食べないと頭が働かないだろ』
そう言いつつ、電話の向こうで『ふぁ……』と気の抜けた欠伸をしている彼。
まぁ、今日は日曜日だもんね。鬼畜の津雲さんでも、休日はわりとのんびりなんだ。
『浅見は……いつも俺より早く執務室に来てるし、身支度も男より大変だろうし、朝飯を食ってる暇なんかないんじゃないか?』
「はい。ヨーグルトを一個食べるくらいです。元々料理も苦手ですし……すみません、婚約者として不足ありまくりですよね」
男性は一般的に、結婚相手には料理のできる女性を求めるものだろう。私は勝手にそう思っていたが、津雲さんの反応は予想とは違っていた。
『別に。俺は家政婦を求めてるわけじゃないんだ。料理ができないからって自分を卑下する必要はない』
「……ありがとうございます」
そんなこと言ってくれる人、初めてだ。
今までにお付き合いした男性はもれなく、〝女性たるもの料理上手であるべし〟という感じだったから、家デートの予定があった場合、その何日も前からレシピを眺めては実際に作る練習をして、ぼろが出ないように誤魔化すのが大変だったのだ。