エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる


 それでも料理が相手の口に合わず、微妙な顔をされたこともある。

 頭にきて、『レシピ通りにやった。文句があるならレシピを作った人に言って』なんてかわいげのない発言で、恋人をげんなりさせたことも。

 うーん、こうして考えるとやっぱり、私っていろいろと恋愛向きではないような……。

 過去の失敗を思い返し黙り込んでいると、電話の向こうの津雲さんが『よいしょ』と言って、起き上がった気配がした。

『やっと目が覚めた。これから支度して、迎えに行く。十時頃でいいか?』

 そう言った津雲さんの声にはいつもの覇気が戻っていて、私の背筋もシャキッと伸びた。

 実は昨日の電話で、私たちは初デートの約束もしていたのだ。

「は、はい。お待ちしてます」
『じゃ、後でな』

 短い挨拶で電話は切れ、私は思わずふう、と息をついた。

 緊張したけど、なんだか楽しかったな……。って、ゆっくり浸っている暇はない。

 今朝は早起きしたとはいえ、じっとスマホとにらめっこするばかりでなんの家事も身支度もできていないのだ。

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