エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
「おはようございます」
「おはよう。……なんだかいつもと雰囲気が違うな」
津雲さんはそう言って、真顔で私の格好を上から下まで眺める。
……そういえば、こっちもいつもと違う格好なんだった。
「似合ってませんかね?」
「誰もそんなことは言ってない。……寒いだろうから、乗って」
「は、はい。お願いします」
ぺこりと頭を下げて助手席側にまわりつつ、私はちょっと拗ねた気分になる。
感想、それだけですか……? サラッと『かわいいよ』とか言うタイプじゃないのはわかっているけど、もうちょっとなんか言葉が欲しかったな。
カチッとシートベルトを締めると、津雲さんが思い出したように言う。
「そうだ、手を見せてくれないか?」
「手? いいですけど、どうしてですか?」
問いかけながら、両方の手のひらを上に向けて彼の方へ差し出す。
「……手相占いに凝っているんだ」
少しの間を空けて答えた彼に、思わず問いかける。
「えっ。すごい! 見ただけでなにかわかるんですか?」
しかしその質問には答えてくれず、どうやら私の手相を見るのに集中しているようだ。
そのうち彼は眺めるだけでは飽き足らず、私の手をギュッと握りながら、私の手のひらに熱い眼差しを注ぐ。