エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

 恥ずかしくて、段々居たたまれなくなってきた。

「あのう。今、なにを見てらっしゃるんでしょう?
「ん? ……恋愛運」
「えっ」
「……モテ期が到来してる」

 そう呟いた彼は、私の手を握ったまま、手のひらの中心辺りを親指でゆっくり撫でる。その優しいタッチがくすぐったくて、頬が熱くなる。

「そ、それは……よかったです」
「よくない。俺以外の男がちょっかい出してきたらどうするんだ」

 もしかして津雲さん、また嫉妬してる……? ただの手相占いの結果なのに?

 私は少し悩んで、ぼそりと告げた。

「そしたら……私がよそ見しないように、しっかりつかまえていてください」

 津雲さんがちらりと上目づかいで私を見る。それから気が抜けたように、ふっと息を漏らして笑う。

「了解。確かに、なにがあっても俺さえこの手を離さなければいいんだ」

 彼はそう言って前に向き直るが、左手で私の手をゆるく掴んだままだ。誰にも見えないところで手を繋いでいるこの感じ、なんだかすごく恋人っぽい。

 内心ときめいていたが、私は元来の真面目な性格から、遠慮がちに彼の手をほどく。

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