エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
その後、テラスのような場所に出ると、ひときわお客さんが密集している一角があり、津雲さんがパンフレットを見ながら私に尋ねた。
「あの人だかりは……アシカパフォーマンスか。どうする?」
「せっかくなので見たいです。立ち見でいいので」
「なら、はぐれないように……」
津雲さんの大きな手が、私の手を包み込むように握った。心臓がぴょんと跳ね、またしても顔に熱が集中する。
その顔で困ったように津雲さんを見上げれば、彼は空いている方の手で顔を覆い、ぽつりと「破壊力……」と呟いた。
破壊力?と頭に疑問符を浮かべていると、間もなくアシカパフォーマンスが始まった。
つるつるとしたキレイな毛並みのアシカが、器用に口の先でボールを操ったり、持ち前の賢さを発揮して飼育員とコントをしたり。
私はすぐにかわいいアシカたちに夢中になり、拍手と歓声を送る。しかし津雲さんはというと、アシカを見るより私が人混みに押しつぶされないよう常に周囲に気を配って、時には大きな体で盾となってくれた。
私だけが楽しんでしまって申し訳ない反面、 専属SPに守られているような感覚はなかなか悪くなくて、私はこっそり胸をときめかせていた。