エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

 水族館を回り終えた私たちは、隣接するビルの高層階にあるイタリアンレストランで昼食をとることにした。幸運にも、東京の景色を一望できる窓際の席に案内され、早速津雲さんとメニューの相談をする。

 ふたりともお腹が空いていたので、前菜に、選べるパスタとメイン料理、最後にはドルチェもついてくる、ちょっと贅沢なランチコースを注文した。

 料理を待つ間、水族館で過ごした時間に思いを馳せる。

「楽しかったですね~。童心に返っちゃいました」
「ああ。しかしまさか、自分で自分のためにぬいぐるみを買う日が来るとは……」

 津雲さんが、隣の空いた椅子に置いた、水族館のお土産ショップの袋を見ながら苦笑する。

 見るからにもこもこ膨らんだ袋の中に入っているのは、ダイオウグソクムシのぬいぐるみ(大)である。

 お土産ショップの棚でそれを見つけた時、津雲さんはしばらくの間ぬいぐるみと見つめ合ってから、『……買おう』とひとりで頷いた。さらに実際に手に取った時は、真顔ながらもなんとなく、うれしそうなオーラを発しているようにも見えた。

 よっぽど好きなんだなぁ……と感心しつつ、似合わないぬいぐるみをレジに持っていく津雲さんの姿に、胸がほっこりした。

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