エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

「ぬいぐるみ、おうちのどこに飾るんですか?」
「ベッドかソファか……悩むな。リビングにいたら癒されそうだし、寝る時にも抱きしめたいし」
「それなら二個買えばよかったですね」
「いや、それはさすがに……俺にも羞恥心というものがある」

 ボソボソ言いながら、お水のグラスに口をつける気まずそうな津雲さんがおかしくて、クスクス笑ってしまう。

 別に二個買ったところで、両方自分用なんだとは誰も思わないだろうに。きっと一個買うだけでも、店員さんや他の人の目が気になって仕方なかったんだろうな。

 そうこうしているうちに前菜が運ばれてきて、コースが始まった。

 水族館を見てきた直後のため、メイン料理にはふたりとも魚でなく肉料理を頼み、私たちは終始和やかに談笑しながら、美味しいイタリアンを堪能した。 


 レストランを出た後は、ショッピングモールをふたりでぶらぶら歩いた。

 年末年始はお互い実家を訪れるということで会えないので、その直後の週末、今度は彼の家で一緒に過ごそうと約束し、その時のためにペアのマグカップを買ったり、かわいい歯ブラシを買ったり。

 もう完全に新婚さんじゃん……。そう思うと照れくさくて、時折口元がにやけそうになった。

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