エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
すれ違いの日々
翌日の昼、私は志保と連れ立って、東京地検から徒歩圏内にある洋食店を訪れていた。
昭和レトロな雰囲気が漂う小さな店で、私はここのオムライスが大好物。チキンライスをプレーンな薄焼き卵で包み、ケチャップをたっぷりかけてある、懐かしい見た目と味がたまらないのだ。
……しかし、今日はどうにも食欲が湧かず、付け合わせのレタスばかりちびちび口に運んでいる。志保は最初そんな私の様子を黙って観察していたが、やがてしびれを切らしたように突っ込んでくる。
「なにから聞いてやろうかと楽しみにしてたんだけど……その顔じゃ、昨日のデートは楽しいばかりじゃなかったみたいね」
「うん……。いや、楽しい時間もあったんだよ? でも……」
「なによ。昼休みは限られてるんだから早く言いな」
志保はそっけなく言うと、デミグラスソースのハンバーグをいそいそ切り分けてぱくっと口に運ぶ。そして、私の浮かない表情などお構いなしに、「おいしいっ」と満面の笑み。
ううっ。優しくない……。
しかし、こういうドライな性格の志保だからこそ、付き合いやすいのも事実だった。
私は小さく息を吸い、津雲さんとの例の一夜から、順を追って説明していく。