エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
「わかりました。すぐに伺います」
そう言って電話を終えた津雲さんが、部屋の隅のポールハンガーからコートを取り、腕を通し始める。どこかに出かけるようだ。
「津雲さん、どちらへ? 私も一緒に行きましょうか」
「いや、大丈夫だ。ひとりで来てほしいと言われているから、留守番を頼む」
「そうですか。構いませんけど……行き先は?」
再度尋ねると、コートをきっちり着込んで出かける準備を済ませた彼が、デスクの上のメモにペンを走らせる。見ていると、アパートの住所のようだった。
「この住所は?」
「昨日の女性の家だ」
「えっ」
今、なんておっしゃいました……?
呆気に取られて彼を見つめたが、津雲さんはメモをちぎって私に手渡すと、風のように執務室を出て行ってしまった。
これから、彼は昨日の女性の家へ? なにをしに? さっきの電話も、彼女からだったの……?
大量の疑問符が頭の中を埋め尽くし、私はしばらくフリーズしたまま仕事が手につかなかった。