エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
「そ。俺って最初は検事だったの。でも、検事って色々きついし、俺には合わなかったから早々と弁護士に路線変更しちゃった。続けてたら和香菜ちゃんみたいなかわいい事務官と相棒になれたかもしれないと思うと惜しいわ~」
話しながら、勝手に津雲さんの椅子に腰かけてくるくる回る三船さん。
そうだったんだ……。検事から弁護士になる、いわゆる〝ヤメ検〟と呼ばれる弁護士さんたちがいることは知っていたけど、まさか三船さんがそうだったとは。
「で、津雲はどこ行ってんの?」
「あ、ええと……DV被害者の女性のお宅……です」
「ああ、なんかの事件関係者か」
「……おそらく」
そうだよね。そうであってほしい。なにかとんでもない事件のにおいがするから、津雲さんは彼女に会いに行ったのだと、信じたい。
三船さんは、私の歯切れの悪い口調になにか思うところがあるようで、黙ってジッと顔を見つめてくる。
やだなぁ……。津雲さんの切れ長の瞳にキッと睨みつけられるのも迫力あるけど、三船さんは穏やかな目をして、腹の内ではなにを考えているかわからない感じがする。