エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
「ほら、結構イケメンよ? 」
「だから、いくら顔がよくたって関係な――」
うんざりしながら答えている途中で、私は母のスマホに表示された写真の人物に釘付けになった。
茶髪にパーマ、明るいグレーのスーツの襟に弁護士バッジ。こ、この人は……紛れもなく。
「これ、三船さん……?」
「あら? 和香菜、知り合いなの? そうよ。お母さんの習ってる書道教室の先生の息子さんで、京一郎さんといったかしら。それで先生と盛り上がっちゃって、お互い、お正月に子どもたちが帰ってきたら話をしてみましょうってことになっていたのよ」
へえ……こんな偶然ってあるんだな。ということは、三船さんって私と地元が一緒なのか。
軽く親近感を覚えるが、だからといってじゃあ彼とお見合いしよう、とはならない。
そもそも三船さんって、津雲さんの話に聞く限りでは、女性に不自由してなさそうだし……。私はひとり思いを巡らせ、再度母に言い聞かせる。
「とにかく、相手が誰であろうとお見合いはしないからね」
「わかったわよ……。じゃ、自分で断りなさい」
「え? 自分でって?」
母の言葉の意味が分からず、思わず眉間にしわが寄る。