エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

「あなたの連絡先、先生に教えてあるのよ。『息子さんの方からからぜひ娘に声を掛けてほしい』って。だから、お誘いが来たら、自分できちんと断りなさいね。お母さんもう知らないから」

 さっきまでと打って変わって、今度は母がツンとした態度になる。私がお見合いしないといってきかないから、機嫌を損ねたようだ。

 ……いや、怒りたいの、こっちなんだけど。

「なんで人の連絡先勝手に教えるのよ」
「いいじゃないの、変な人じゃないってわかってるんだし。弁護士さんなんだから、悪用するわけもないでしょうし」
「悪用とかそういう問題じゃなくて、いくら親子でもプライバシーってものがあるでしょ!」
「ああ~やだやだ、和香菜ってすぐそうやって正論をまくし立てるんだから」

 母は両手で耳を塞ぎながら立ち上がり、キッチンに逃げていく。

 本当はもっと色々言いたいことがあったけど、なんだかどっと疲れてしまった……。

 私はお茶を流し込むように飲んでから、二階の自室でひと休みすることにした。


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