エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
「状況を教えてください。今、どこですか? 誰かに襲われたんですか? 警察は呼びました?」
『違う……。そうじゃなくて』
話している合間に聞こえる息遣いは荒く、休み休みじゃないと喋れないみたいだ。いったい彼の身になにがあったの……?
不安でいっぱいになりながら彼の言葉を待っていると、やがて弱々しい声が聞こえてきた。
『……風邪を、引いたらしい』
「えっ……? か、風邪……?」
思っていた状況と全く違っていたので、思わず間抜けな声が出た。
事件じゃなかったのか……よかった。でも、風邪ならそれはそれで心配だ。
『病院には行ったが……薬を飲んでもなかなか熱が下がらなくて……つい、浅見に電話してしまった』
どことなく心細さの滲んだ彼の声に、胸がきゅんとした。つらい時、無意識に私を頼ろうとしてくれたのもうれしい。
「じゃ、今から津雲さんの家に看病しに行きます。なにか、欲しいものはありますか? 途中で買い物してきますから」
『欲しいのは……浅見』
「えっ」
予想外の返事に、心臓が大きくジャンプした。
き、聞き間違い……かな?