アイドル絶対殺戮戦線
バスタオルを巻いて浴室から出てきた私の耳に、ピロンと聞き慣れた音が届く。


期待はしていなかった。ただ、もしかしたらなんて甘い考えを胸によぎらせながら画面を見る。と――


【K】


アルファベット1文字。怪しすぎるアカウント。


だけどそれを見たとき、不思議と私のほおを伝っていたのは一筋の涙だった。


「なんで……なんでずっと未読無視してたんですかぁ」


その声が聞こえるはずもないのに。


どうしてだかわからない。涙が口に入り、その塩からい味にまた涙が出てくる。
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