アイドル絶対殺戮戦線
そのとき。


「ねぇ、あたし」


と茜が私の服の裾を引っ張った。


上質な生地のブレザーは、そうされてもしわになることはない。


ただ、茜のどこか決意を秘めた目が気にかかり、私は彼女に顔を向ける。


「どうしたの?」


「……あたし、舞台に立ってくるよ」


「え?」


茜が指差したのは、まちがいない、スポットライトに照らされる壇上だ。


「ちょ、ちょっと待ちなよ。まだ早くない?」


「早くないよ。まだ早いとみんなが思ってるからチャンスなんだよ。


 これから107人があの壇上に立つんだよ。その中でどうやったら注目してもらえる? 1番に名乗りを上げて、見てもらわないと」
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