アイドル絶対殺戮戦線
レッスン室を出て廊下を歩き出した私の耳元に、みゆきが顔を近づけてきた。


「……ちょ、ちょっとどうしたの!」


焦る私を尻目に、明日菜はスタスタと進んでいく。


そして私はそのまま、みゆきに腕を掴まれささやかれた。


「講堂を離れて自由なように見せかけておいて、あたしたちは24時間中継されている。食堂のカメラ、屋上のドローン、そしてレッスン室Dのカメラは壁掛け時計に仕込んであったわけだ。


 七歌はそれを理解した上で泣き落としでもして、明日菜さんが断れば悪役になってしまう、つまり断れない状況を作り出しでもしたんだろ」


……へぇ。


正直意外だった。


みゆきが「見られている」状況を理解していたとは。そして「時計」という小さなヒントから、まるで見ていたように明日菜と私の状況を羅列してみせるとは。


「……へへ。あたり」


意地悪く微笑んで、歩き出す。あ、明日菜はもうあんなところまで進んでるぞ!? 足速いなぁ。


「3人寄れば文殊の知恵」というけれど、腹黒が3人集まった場合はどうなるんだろう。手のひらで転がしあって、案外楽しいかもしれない、なんてね!


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