アイドル絶対殺戮戦線
「……っ、知ってるんですか」


「もちろん。私はプロデューサーですからアイドルのことは何でも知っています」


片眉を上げて、ニンマリと堂々は微笑んで見せる。


「私は君の仲間でも蹴落とす姿勢、本当に素晴らしいと思っていますよ。前へ前へと出る強欲さは、人気アイドルの必須条件です。


 花菱さんはあのとき、君を押しのけてカメラの前に立つこともできた。しかし、それをしなかった。だから彼女は今ここにいるのです」


そう言って堂々に指し示されても、茜は瞬きすることもなかった。ただ、3年間の思い出を全て忘れたかのように、ぼうっと前を向いている。
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