先生!好きだからっ!!~どうしたって忘れられない人はいるものです~
「痛いです。」

「返事しねーからだ。」

振り向いたわたしの目に飛び込んできたのは、涼し気な目元に鋭いまなざし。瀬戸口さんが人懐っこいイケメンなら、こちらは近寄りがたいオーラをもった危険なにおいのするイケメン…

長めの前髪をかき分けるとわたしの瞳に目を合わせた。

ドキン…

心臓が高鳴る…

一瞬…その瞳に吸い込まれるかと思ってしまう。
そのするどい眼差しの奥に入り込んでしまうんじゃ…?

けれど…それは一瞬のことで…
次の瞬間にはもう一度頭をパスっとたたかれた。

「部活行けよ。はやく。部員待ってんぞ。」

そしてわたしから目をそらせる…。

「わかってますって。今から行くんですってば。」

わたしは頭を押さえながら目を逸らし、合わせないようにして答えた。

「俺、校長に呼ばれてっから。それ済ませたら部活行くっつっといて。」

「え?あ、はい。」

そして手をひらっとあげるとわたしの前からゆっくりと歩き出す。

さっき、足早にかろやかに去った瀬戸口さんと同じ方向へ…

ゆっくりだるそうに歩くその姿があまりにも対照的すぎて笑いそうになった。

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