先生!好きだからっ!!~どうしたって忘れられない人はいるものです~
あいかわらず…スラっと背が高い…

男子バレー部顧問、伊奈亮平(いなりょうへい)

バレーで馴らしたその体はスラっと背が高くて、危険なかおりがする。
スポーツとは無縁かと思われるようなその風貌で、実は昔オリンピック代表候補にまで選ばれたほど、バレーをやらせたらすごいというギャップにもやられて、当然彼も女子高生たちの人気の真っただ中にいる。

ダラダラとめんどくさそうに歩くその姿からは想像できないようなスパイクを決める。

今でもバレーやっていてもおかしくない。

なぜ、やめたんだろう…。


しばらくその姿をながめていたわたしが踵を返そうとしたときだった。

「あ、おまえ、明日のプリント印刷しといてな。」

「はい。わかってます。」

それだけいうと、また前を向いて歩き出した。

そう、彼はわたしの担当するクラス1年F組の担任で英語教師でもある。
わたしが副担任。

新任教師だから、なかなか最初から担任はまかされない。
1年間副担任で勉強してから、適任だと思ったら担任をまかされるようだ。

けどよりによって、なんでこんなにたくさんの教師がいる中で、伊奈先生だったのだろう…
ほんとに運命ってやつを恨むしかない…

わたしはもう一度深いため息をつくと、その場所を後にした。


プリント印刷して…
部活急がなきゃ…

みんな待ってる…。


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