ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
「……彬良?
どうかした?」

突然、黙り込んだ俺に不思議な思ったのか
灯里が運転する俺の腕に手をかけてきた。

「いや……なんでもない。
ちょっと寄り道していいか?」

「……うん?いいよ。
彬良、どこか行く予定あった?」

「いや……そういうわけじゃないけど……。」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「彬良、ここって……」

「うん。俺ん家。……降りて。」

駐車場に車を停めて、住居出入り口にスタスタと歩いて行く彬良の後を小走りで追いかける。

突然迎えにきたと思ったら、寄り道が彬良のマンション⁇
一体どうしたんだろう。

しかし、このマンション確か新築のファミリー向け物件だよね?
駅近で、廣澤総合病院に行くまでの間にあるから、実は更地の時から見てきた。
毎日、前を通って通勤してたし。
まさか、彬良がここに住んでると思わなかったよ。
大学からこっちに移って、こんな大きなところに引っ越したんだ。
やっぱり、お医者さんは違うなぁ…。
まあ、彬良の家は経済的に恵まれてるし。
これが普通なのかな⁇

「え!1番上なの⁉︎」

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