ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
兄嫁、分岐点を示す
「なにそれ⁉︎
あの義弟、ヘタレだとは思ってたけど、
とことんだわねー。」
翌月曜日の昼休み。
最近私物化している応接室で、麗先生とランチタイム。
昨日のモヤモヤを一気に吐き出した。
こういう時はやっぱり女友達だ。
聞いてもらわないとやってられない。
斎を紹介してもらった報告もあったから、今日のランチは最初から応接室を予約してたんだけどね。
ヒソヒソ話すのも疲れるし。
「まさか、顔合せについて行くなんて。
まあ、想定内って気はするけど。」
「それは…まあ、心配してのことだから、
許してます。」
「フフフ…心配なかったんだけどね、本当は。
雅さんから、聞いてたのよ。
弟には婚約者がいるって。
だから、逆に勘違いするような女の子じゃ困るのよね?
その点、灯里ちゃんなら絶対大丈夫だと思ったから。」
もちろん、そのお姉様の考えていることはわかる。
厄介な女性を紹介されたら困るわよね。
同じ弟を持つ身。
「斎とは上手くやっていけそうですよ。
彬良も、いや彬良の方がすっかり仲良くなっちゃって。長年の友達みたいでしたよ。
本当、良い方を紹介していただいてありがとうございます。」