ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
跪いたくノ一が、そのまま流暢な英語でメニューの説明をし出した。

まさか!
コイツ…灯里か?

俺の同級生で、親父の秘書の、平田灯里⁉︎

俺は驚愕のあまり、フリーズしたまま、
まじまじとそのくノ一を見つめた。

「……………くノ一“お里”?」

ネームプレートを読み上げる。

“灯里”の“里”から取った源氏名か?
なんと安易な!

あっ、逃げる!

「ちょっと待て、そこのくノ一!」

びくっ、と一瞬跳ねた後、首だけこちらを向ける
くノ一“お里”。


「……と、殿、なんでござるか?」

「……お前……ここで何してる…⁉︎」

「……殿、海外からのお殿様方がお待ちでござる。お話は後ほど……にんにん…」

「にんにん…」

………にんにん、だと〜⁉︎

あ、あり得ない……。

その後、俺がくノ一に個人的に話しかけたことをジェイソンが誤解して

「アキラ!あのくノ一が気に入ったのかい?
たしかにキュートだよなぁー!
ネイティブ並みに話すし、アレはいい!」

「アキラ!可愛いわよっ!あの子。
小柄なのに、バストもバッチリあるじゃない?
帰りに、声かける⁇」

カーリーまで……

なんなんだ…

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