ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
「え? なんだ⁇ 」

「ううん。こっちのこと。」

ふ、振られるかと思ったら、
大ドンデン返しだ!

やった! やったぞー!

「灯里、そ、その、キスしていいか?
お礼とか、そんなんじゃない恋人同士のキス。」

「それ、聞く?」

灯里っ‼︎
俺が犬なら、ブンブンと忙しそうに振られる尻尾が見えたことだろう。

そして、俺は長く甘いキスをした。
灯里は俺のもの。
やっとだ。






.……………いや、まだ残ってた。難問が。

『一点の曇があってもいけない。』

兄貴はそう言った。

その通りだ。
つまらないプライドは捨てろ。
初めてだって、いいじゃないか!
ずっと灯里に操立ててたんだ。
自信を持て、俺!

「あ、あ、あ、灯里⁉︎
俺の話もちょっとだけ…聞いて欲しい。」

「……なに?」

うわ、めっちゃ警戒してる⁉︎

「その……あの…
俺…実は……………………誰ともしてない。」

「え? 今、なんて言ったの⁇」

「だから!…………誰ともしてないんだ。」

「何を?」

「え、えと、キ、キス……?」

「はい?
え、でも、女の子取っ替え引っ替え……
あ、キスは誰ともしなかったってこと⁇ 」

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