ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
孝一は亡くなった私の父。
院長先生の親友だった。

「はい。
その時はお願いします。」

父が亡くなってから、ずっと支えてくださった。
有り難い話だ。



しかし……
全く実感がないんだけど。

え、私、お嫁に行くの⁇
怒涛の展開に気持ちが全くついて行けてない。

昨日の夜、やっと長年の想いが実って。
やーっと身も心も結ばれた。
その余韻に浸る間もなく、兄夫婦の早朝襲撃を受け、兄夫婦の前で公開プロポーズ。
その2時間後には、義父となる院長先生とバージンロードを歩く予約が入った。

やっぱりついて行けてない……

こんなものなの?

もちろん、やっと両想いになれて心に落ち着きが出来たというか、揺るぎないものを感じている。もう、絶対離れる事はないと思う。
そう信じられる。

ずっと、彬良の過去に苦しんでた。
この歳だもの。
過去があって当然のはず。
そう思っていても、どうしても許せない自分がいて、苦しかった。
それがまさかの…真っさら。
嬉しくて、思わず私からいただいてしまった。
いや、私もハジメテだったんだけど。
何というか、本能? なんだろうか。
絶対私がもらう! と思ってしまった。
私達、絶対逆だわね。

それはさて置き……

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