ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
くノ一卒業。お殿様に嫁ぎます!
4月最終日曜日。
本日を持って、くノ一を卒業する。
何故か大事になってしまった卒業パーティー。
オーナーが常連さんに声をかけてくれて、沢山のお殿様、お姫様がご来店。
たったの2ヶ月しかいなかったのに、なんとも有難いことだ。
◇◇
思い返してみれば…………
ここに至るまで、プライベートはまさしく怒涛の2週間だった。
彬良の平田家への挨拶が、廣澤のお義母様の計らいで、何故か両家の顔合わせになった。
(もちろん、バイトは休むことに。)
場所は、廣澤家御用達の、老舗、岩橋屋旅館の料亭。
顔合せ会冒頭、彬良から母へ挨拶が。
「灯里さんと結婚させてください!」
「彬良くん、灯里をお願いしますね。」
型通りの挨拶後、用意されていたのは…
「灯里、幸せにする。」
の言葉と共に、左手薬指にはめられた、ダイヤの指輪。
いつの間に用意してくれたんだろう。
知らされていなかったこのサプライズには、感動し、思わず涙が出た。
「彬良、有難う。
幸せになろうね。」
その一部始終を、同席した修司先生と健心が動画で撮っていた。
父が他界していることもあり、堅苦しい結納はなしということに決まる。