ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
そして日曜日、午後5時。
くノ一カフェ『忍びの花園』で私の卒業パーティーが始まった。

最前列には彬良と斎が。
斎ったら、小道具に“お里ちゃん”うちわを持ってきている。
常連さんからの“お里ちゃん”コールに応え、アンコールダンスを披露。

最後はフロア全体を巻き込んで、皆んなで楽しく踊った。
もちろん、彬良もね。

たったの2ヶ月とは言え、楽しくお仕えさせてもらったことに感謝だ。

「はぁー。彬良はいいよなぁ〜。
今後は彬良専属くノ一か。
いつでもコスプレ。毎晩コスプレ。
羨ましいことで。」

「なっ、い、如何わしいことを言うな!」

本当に。この御曹司は…

「斎殿、今日は有難うでござる!
“お里”はこのお殿様に嫁いだのでござるよ。」

「おー! おめでとう! 良かったな〜
でも卒業は本当に残念だよ。
その姿が今日限りなんてなぁ。
こんな逸材なかなかいないのに……
幸せになれよ。」

「フフフ…ありがとうでござる。」

こうして、私のくノ一生活は幕を閉じた。
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