ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
例えば、今もそう。
今日は入籍して初めての、彬良の誕生日。

夕飯の準備は出来ていて、彬良が帰宅したので、温め直そうとキッチンへ。

こういう時、彬良は必ず付いてくる。
私が温め直している間、ずっと後ろから抱きしめてくるのだ。
身長差があるから、覆いかぶさるような感じになって、少なからず重い。

「彬良、もうすぐ出来るから、あっちで待ってて。」

「やだ。」

「やだって…子供みたいだよ。
彬良、重いんだから〜。」

「俺の愛は重いんだ。」

なんなのそれ!

「もう! 動けないでしょう?
あ、じゃあこれ運ぶの手伝って。
ほら、さっさと行く!」

あー…このやり取り、院長先生と一緒だわ。
親子だわー。

「今日、髪洗って?」

「えぇ? また? 」

一緒にお風呂に入ったら、絶対それだけじゃ済まない。

「……のぼせちゃうから、ダメ。
絶対、髪洗うだけじゃ済まないもの。」

「うわ、その上目遣い反則…
灯里、可愛い…。」

そう言ってキスしてくる。
……甘い。甘いよ〜〜

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