ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
灯里曰く、数字を見てるだけで目が回ってくるらしい。

それでよくこの高校に合格したな…。

抜群の記憶力も、数字には通用しないらしい。

なんとなく…放って置けなくて……。

何故か、いつもなら有り得ない、仏心を出してしまった。

「数学、見てやろうか?」

「えぇ!マジで⁉︎
こう言っちゃなんだけど、彬良、後悔するよ?
私、半端ないから。」

あぁ、そうだろうな…。
現状、赤点ギリギリなんだから。
俺も言った側から後悔し始めてるよ…。

けど、男に二言はない!
こうなったら、なんとか赤点だけは免れるように、ヤマ張って、最小限のことを繰り返し覚えさせよう。

それからだ。
数学の猛特訓が始まった。

それも、プリントがたったの2枚と言うミニマムな勉強法。
同じプリント、同じ数字のままで、何度も何度も解かせる。解かせると言うよりは、書かせるのだ。
そうすると、流石の灯里も、条件反射的に数字が書けるようになってくる。
最初はそれでいい。
試験間際になると、同じ問題で、数字を変えたものに置き換える。
なんとか苦労しながらも、プリント2枚分の問題だけはクリアできるようになる。
……と言うわけだ。
これは灯里の記憶力だけを利用した勉強法だ。

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