ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
この方法で、なんとか期末テストを乗り切った!
それでも、54点と50点だったけど、半分以上は取れたってことだ。もちろん追試はない!

灯里には非常に感謝された。

「彬良のお陰だよ!
50点超すなんて、奇跡だよ〜‼︎」

俺も、54点と50点とは言え、達成感を味わっていた。

「ね、なんかお礼したいの。
何がいい?
彬良んち、お金いっぱいありそうだから、なんでも持ってるよね〜。
あ、肩でも揉む?肩凝ってない⁇」

いや、なんでも持ってないし、肩も凝ってないけどな…。

けど…何かって言われたら…………

ふと、目線を下げる。
小さくて丸い白い顔に、大きな丸い目が期待に満ちて輝きている。
こ、この角度、キスするみたいじゃないか?

「キス、してみたい…」

え!お、お、お、俺、今なんて言った⁉︎
願望をそのまま声に出してしまったような…
うわーっ‼︎‼︎‼︎
マズい!聞こえてしまったかっ⁉︎

「なに、そんなのでいいの?
え、彬良、キスしたことないの⁇」

「へ?お、お前は、あ、あ、あるのか⁉︎」

「うん。もちろんあるわよ。毎日してるよ?」

ま、毎日ーっ⁉︎
え、コイツ、付き合ってるやつ、いたのか⁉︎

「あ、じゃあ、忘れてくれ。
今のは聞かなかったってことで!」

「いや、そんなんでいいなら遠慮しないで。」

と言って近づき、思いっきり背伸びをして、唇をチュッと俺の口に押し付けてくる。

……え?今の…………え?

「あ、ゴメン、違った⁇
彬良がしたかったんだっけ。
んじゃあ、ハイ!」

と言って、上を向いて目を瞑る。

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