ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
俺、スペックは悪くないはずなのに⁇
気づけば両手どころか両足を使っても足りないくらいの元カノの山。

…………なのに。

俺、未だにDTなんだよーっ‼︎‼︎
どういうことだ⁉︎
いや、どういうことでもない。
たったの1週間で、DTの俺が首尾良く事に及べるわけがないんだ。

結局、俺は元のガリ勉生活に戻った。
俺には恋愛は向いてなかった。
そういうことだ。




その頃には灯里とも疎遠になっていた。
例の彼氏とはそんなに長続きはしなかったみたいだけど。
その後、誰かと付き合ったと言う話も聞かなかった。



再び接点を持ち始めたのが、
大学4年生になった時。
そう、彼女の父親が亡くなった時だ。
俺も薬理の授業で面識はあった。
まさか、脳卒中を起こし、発見が遅れて亡くなるなんて…。

親父が灯里に親身になって葬儀を執り行う事になった。
現役教授の葬儀だ。
本来なら、大々的に執り行うものなんだろう。
しかし、灯里と母親の負担を考えれば、家族葬の方がいいと判断した親父が、K大関係を抑えた。
大学は大学主導の“偲ぶ会”を別にするよう、指示した。

それから廣澤家は、一丸となって灯里の家族を守った。
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