ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語

副業は天職？

午後5時。

廣澤総合病院を出た私は、バイト先へ向かう。電車に揺られ、片道30分。
ようやくたどり着いた先は……………………




「お殿様、
お帰りなさいませでござる！」

「「お帰りなさいませでござる！」」

今日もお殿様、お姫様をご案内する。

「お殿様、本日のおすすめは忍法カクテル
“夕闇の術”でござる。」

カシスリキュールに搾りたてオレンジジュースを御前で混ぜて“夕闇の術”。
（イメージよ！）
仕上げに忍術をかける。
人差し指を立てて両手を前で結び、くるくると、

「忍法“夕闇の術”〜、にんにんにんっ！」


そう。
ここは、くノ一カフェ『忍びの花園』。
メイド喫茶の和風版と言ったところだろうか。
秋葉原に数店舗あるチェーン店とは違い、オーナー兼店長が個人でやってる、くノ一カフェだ。
自由度が高く、思いつくままに色々な取り組みをしている。
こじんまりしているので、オーナー含め、平日は、スタッフ3人で対応。
平日は主に常連客と海外から個人のお殿様が多いが、土日になると、日本人、外国人問わず、お殿様やお姫様のグループが増える。