ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
「そう。だから、この子のことはいいのよ。
それより、灯里ちゃんと彬良くんの話に戻しましょう。
結局、元サヤに収まったってことなのね?」

元サヤ⁉︎

「え、違います。
元サヤも何も、元々付き合ってませんから。」

「え?そんなはずないわよ。」

いやいや、本人がそう言ってるんだから、事実なんだけど。

「だって、私、ここに嫁いで来た時に真っ先に聞いたわよ?
『灯里ちゃんは弟の彬良の嫁になる予定だから、気にしないでねー。』って。
修司さんからも聞いたけど、お義母様やお義父様からも聞いてたわ。
年齢的には私と近いし、院長秘書だとどうしても廣澤家にすごく近くなっちゃうじゃない?
きっと、私たちが揉めないように気にしてくださったのよ。ほら、修司さんを巡って修羅場にならないように。」

「な、なんで⁉︎
修司先生を巡って⁉︎
ナイナイナイナイ‼︎‼︎‼︎」

「フフフ、そんなに全力否定しなくても。
わかってるわよ。
それに、
『彬良の高校の同級生で、高校時代2人は付き合ってたんだよ』って聞いてたから。」

なんの心配もしてなかったのよ〜、と麗先生が言う。

待て待て、さっきからそこがおかしいっ!

昨日、修司先生にも言われたんだった。
焼肉に釣られて、すっかり抜け落ちてたけど。
『ヨリを戻す』⁇
なんで付き合ってたことになってるの⁇
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