ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
「だったら、北京語で大丈夫だと思います。
上海語もあるんですが……ビジネスですよね?」

「ええ。ビジネスよ。
通訳はいるそうなの。でも、せめて最初の挨拶くらいはあちらの言葉でしたいから、日常会話の本当に基本的な会話だけ知っておきたいそうなの。」

上海でも、公用語は北京語。
あと、ビジネスなら英語だ。
どちらも話せるけど。

「それなら、灯里には簡単なことですよ。」

ちょ、健心!
勝手なことを……
今だって、フランス語会話のレッスン、本当にしてるわけじゃないんだけどな。

「北京語は話せます。
広東語も少しなら。」

「へぇ〜、噂には聞いてたけど、灯里ちゃんの語学力ってすごいんだね〜!

「いえ、大学には、わりと多かったんです。
語学オタクって言うか…何カ国か話せるのは当然で…。私はメジャーな語ですけど、一般の人なら聞いたことないような語をマスターする人もいたり。」

私は教職と司書と学芸員、取れるだけ資格を取ったから、そこまで幅を広げる余裕がなかったけど。

「私のお友達の弟さんなの。
今度、中国に出店を考えているらしくて…」

「それってHASEGAWAの?」

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