ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
日曜日。

指定されたカフェは、偶々くノ一カフェのある駅の反対側にあった。
ここなら後で慌てなくて良さそうだ。

カフェに入ると、麗先生から写メを見せてもらっていたおかげで、すぐに長谷川さんを見つける事が出来た。

いや、見せてもらっていなかったとしても、これだけ華やかで目立つ人だ。
私もすぐに目が行っただろう。

「あ、平田さん?
長谷川です。
今日は来てくれてありがとう。」

「平田です。
はじめまして。
宜しくお願いします。」

注文は自分で行かないといけない。
長谷川さんにアイスティーをお願いする。


「どうぞ。
あ。ゴメン。ミルクとか必要だった?」

「いえ、ストレートで大丈夫です。
いただきます。」

「それにしても…
ちょっと想像と違ったよ。
中国語会話の先生ってイメージしてた感じではなかったな。」

……それは、どういう意味だ?

「あ、ゴメン。
悪い意味じゃなく、こんな可愛らしい人だと思わなかったんだ。
いい意味で裏切られたよ。」

そう言って長谷川さんは爽やかに笑った。
うーん、眩しいぞー!

「そうですか?
でも、会話はちゃんと出来ますので、ご安心を。留学生と毎日討論を交わしてましたから。ま、オタク文化についてですけどね。」

留学生のほとんどがサブカル好き。
いや、それが目的で日本に来てるんじゃない?って思うくらい。

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