ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
「あ、や、参ったな…。
ホント、信用してないとかじゃないから。
あと、口説いてるわけでもないからね?」

眉を下げて失礼を詫びる御曹司は……
なかなか可愛い……
……って、ダメじゃん!
私まで〜!

「大丈夫です。
自分の容姿が未だに高校生に見えることは自覚してますから。
さすがにこの歳になると、身長も丸顔も個性だと受け止めてますので。」


「……うん。
口説いてないけど、やっぱり可愛いい人だと思うよ?」

いい人だな。

「ありがとうございます。
では、少し具体的な話を私からしても?」

「もちろん。」

「上海とのビジネスで中国語が必要だと伺ってます。」

「うん。その通り。
HASEGAWAの海外進出の第一弾なんだ。」

「上海には方言として上海語があるんです。
でも、ビジネスだと北京語になると思います。」

「だったら、北京語を学ぶってことだね。」

「はい。北京語ですね。
テキストなんですが、何かご希望はありますか?」

「いや、全く。
正直、よくわからない。」

「……でしたら、ベタなんですが、NHKのゴガクのテキストで行こうと思います。
わかりやすいですし、やっぱりちゃんと基本から出来てますから。」

「NHK……」

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