不倫の代償

昨夜 家に帰らなかったことを

博幸は 何て 説明するのだろう。

奥さんに…


私のアパートを出て タクシーを拾って。

並んで シートに座ったとき

私は 初めて 博幸の家のことを 心配した。


「ねぇ。家 大丈夫?」

私が小声で聞くと

「大丈夫。雪穂は 心配しなくていいよ。」

博幸は そっと私の手を握る。

「でも。何て言うの?」

「部下が 潰れて 介抱したって言うよ。」

私を見て 優しく微笑む。


部下…介抱…

嘘じゃないけど。


嘘じゃないから 私は 悲しくなる。


私達は それだけの関係。




< 14 / 72 >

この作品をシェア

pagetop