不倫の代償

「雪穂 明るくて。誰にでも 笑顔で。すごく良い子だと思ったの。仕事も 一生懸命 覚えようとしていたし。」

私が 入社した時 博幸も 支店長に昇格して 西町支店の 配属になった。


「私が 入社した頃?そんな前から 博幸 私を 見ていてくれたの?」

「最初は ただ良い子だなって思ってたけど。いつの間にか 雪穂を 追うようになって。そのうち 雪穂から 目が離せなくなっていた。」

「嘘でしょう?」

「雪穂 俺の事 全然 意識してないし。俺も 家庭があるから。抑えようとしたんだよ?」

「私 本当に 全然 気付かなかった。」

「そうでしょう?雪穂 誰にでも 優しいから。三浦が 狙ってたのも 知らないでしょう?」

三浦さんは 私より 1年先輩で

新人の私の 教育係だった。


「まさかー。三浦さん 私の指導係だったから。そう見えただけじゃない?」

「ほらね。雪穂は 何も気づいてないんだ。」

「だって。本当に そんなこと 言われたこともないし。」

「三浦は 奥手だから。中々 言い出せなかったんだろう。そのうち 雪穂に その気がないことに 気付いて 諦めたみたいだったよ。」

「やだ。私… そんなこと 考えたこともなかった。」


「雪穂は いつも 夢中で仕事してたもんな?」

「だって。会社で仕事しなかったら お給料 もらえないよ。」

「雪穂の そういう所がいいんだ。」

「んっ?」

「男性が 多い職場だろ?恋人選びに 会社に来ているような奴が 多いから。一生懸命 仕事する雪穂が 新鮮で 可愛かったんだ。」


私は 胸がキュンとして 博幸に抱き付く。


こんな風に 褒められたことは なかったから。





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