不倫の代償
7
私は ずっと平凡に暮らしてきた。
博幸と付き合うまでは。
どこにでもいる 普通の生活。
何度か 恋もしたけれど。
同年代の彼と ありきたりな恋。
家庭のある人と 付き合うなんて
想像したことも なかった。
だいたい 私の周りにだって
そういう友達は いなかったし。
あの日 突然 博幸に求められて。
力ずくでも 拒否することは できたはず。
私が 拒否すれば 博幸も 止めたはず。
でも 私は 拒否しなかった。
それが すべてだと 今は 思う。
最初は 驚いたけど。
嫌じゃなかったから。
もしかして 私は
心のどこかで 博幸を 求めていたのかも。
本当は 平凡な自分が 嫌だったのかも。
好意を持っていた 彼と
密かに 不倫する自分に
ちょっとだけ 酔っていたのかも。