不倫の代償
「私… そんな二重生活みたいなこと… 博幸が 辛くなると思う。もし お金で解決できるなら きちんと離婚してほしい…」
私の声は だんだん小さくなって。
最後は 口の中で 消えていく。
「俺も よく考えるけど。雪穂も もう一度 考えて。俺が これから先 一緒にいたいのは 雪穂だから。弁護士の先生にも 相談するけど。俺達にとって 何が 一番良いか。」
私は 博幸が言った
” これから先 一緒にいたいのは 雪穂 ”
という言葉が とても嬉しかった。
そして ハッと目が覚める。
「私 本当は 博幸を好きになったら いけなかったの。博幸は いつか 奥さんと子供さんの所へ 帰ることを 覚悟していたから。それなのに どんどん贅沢になって。奥さんと 離婚してほしいとか。博幸と 結婚したいとか。本当は そんなこと 考えたら いけなかった。」
「雪穂…」
博幸は ソファを降りて 私を 抱き締めた。
「ごめん。本当に ごめん。俺が いけないんだ。俺のせいで 雪穂に 辛い思いをさせて。」
私を抱き締めて 博幸は言う。
「違うの。そうじゃないの。私は 博幸と一緒にいるだけで 幸せだから。」
「雪穂。こんなに好きなのに…」
博幸は 絞り出すような声で言って 私を抱き締め続けた。