不倫の代償
「相手方が 籍にこだわるのは 多分 お二人への 嫌がらせだと思います。ご主人から 聞いたとおり 今回の件も 主導権を握っているのは あちらのご両親じゃないかな。籍さえ 抜かなければ お二人が どうすることもできないと 思っているんでしょう。でも今は 夫婦の形も 色々なので。あえて籍を入れない夫婦、入籍しても 別姓で仕事をする夫婦、奥様が仕事をして ご主人が家事をする夫婦…世間も 寛大になっていますよ。色々な形の夫婦に。」
弁護士の話しに 私は 驚いて 博幸の顔を見る。
「先生。例えば 入籍しないまま 子供を産んだ場合、子供には どんな影響がありますか。」
博幸は 私が 一番 気になっていたことを 弁護士に聞いた。
「ご主人が 認知すれば 籍は入っていなくても 子供の父親として認められます。ただ 奥様の戸籍に入るので ご主人の姓を名乗ることは できませんが。」
博幸が 頷く姿を 私は 黙って見ていた。
「一番大切なことは 今後のお二人に 相手方が干渉しないことです。そのために 公正証書を作成して 内容を 明確にしておく必要があります。」
弁護士は そこで一度 言葉を切り 私達を 交互に見た。
博幸と私の 先を促す表情を確認し 続きを話し始めた。
「離婚を前提にした関係であること。ご主人に 金銭的な要求をしないこと。ご主人の生活を脅かすような言動、行動をしないことなど。戸籍だけの関係だということを きちんと 書面に残す必要があります。」