チヤホヤされてますが童貞です
同居から同棲になりましたが…
童貞の葛藤
「今日、駅で降ろしてもらっても良いですか?」
仕事帰り、服部に車で送ってもらっている最中に綾斗はお願いする。
『何故?』といった表情の服部と眼が合うと、言おうかどうか悩んだ。
「………」
「あまり言いたくなさそうだね。僕に言ったらまずい理由なんてあるの?」
「………えっと…」
間違いなく弄られることは確実な理由を濁して伝えることに決めた綾斗は、車のドアの手すりに頬杖をついた。
「不動産屋で解約手続きしてきます」
「今の場所? え、今から解約手続きするってことは今日中に引っ越すってこと…?」
「………前のアパートですよ。」
「あー。同居が嫌で戻るかもだから一応契約しっぱなしだったんだっけ」
ぼんやりとしたまま流れる景色を眺めていると、余計な詮索をする質問が横から投げられる。
「じゃあ凛ちゃんとこのままずっと一緒に暮らすんだ〜?」
顔を見なくてもニヤニヤしていることは声音からわかる。変に察しが良い人だと最初から知っていた。見透かされた恥ずかしさゆえ、綾斗は振り返れず。
「今夜はお赤飯だね〜」
「…あー…もう…だから言いたくなかったのに…」
「アパートの家賃の件、上に伝えておくね〜。『綾斗は愛する人を見つけたので』って」
「っ…!その言い方はなし!!」
散々揶揄われる車内。逃げ場のない場所だからこそ、意地悪な攻撃は止まずに精神をえぐっていった。
あっという間にそろそろ駅周辺、というところまで来て車は停車する。お礼を伝えて車から降りると、窓を開けてマネージャーは最後に…
「避妊はしっかりね♡ 卒業おめでとう!」
と、余計な一言を置いて帰った。
「…っ……」
変装用で深く被った帽子のツバを摘んで下げ、暫く火照った頬を冷ます時間を過ごした。
仕事帰り、服部に車で送ってもらっている最中に綾斗はお願いする。
『何故?』といった表情の服部と眼が合うと、言おうかどうか悩んだ。
「………」
「あまり言いたくなさそうだね。僕に言ったらまずい理由なんてあるの?」
「………えっと…」
間違いなく弄られることは確実な理由を濁して伝えることに決めた綾斗は、車のドアの手すりに頬杖をついた。
「不動産屋で解約手続きしてきます」
「今の場所? え、今から解約手続きするってことは今日中に引っ越すってこと…?」
「………前のアパートですよ。」
「あー。同居が嫌で戻るかもだから一応契約しっぱなしだったんだっけ」
ぼんやりとしたまま流れる景色を眺めていると、余計な詮索をする質問が横から投げられる。
「じゃあ凛ちゃんとこのままずっと一緒に暮らすんだ〜?」
顔を見なくてもニヤニヤしていることは声音からわかる。変に察しが良い人だと最初から知っていた。見透かされた恥ずかしさゆえ、綾斗は振り返れず。
「今夜はお赤飯だね〜」
「…あー…もう…だから言いたくなかったのに…」
「アパートの家賃の件、上に伝えておくね〜。『綾斗は愛する人を見つけたので』って」
「っ…!その言い方はなし!!」
散々揶揄われる車内。逃げ場のない場所だからこそ、意地悪な攻撃は止まずに精神をえぐっていった。
あっという間にそろそろ駅周辺、というところまで来て車は停車する。お礼を伝えて車から降りると、窓を開けてマネージャーは最後に…
「避妊はしっかりね♡ 卒業おめでとう!」
と、余計な一言を置いて帰った。
「…っ……」
変装用で深く被った帽子のツバを摘んで下げ、暫く火照った頬を冷ます時間を過ごした。