チヤホヤされてますが童貞です
オトナの階段1段目
「ん〜!!美味しい〜♪」
仕事を頑張った甲斐がある夕食に、凛の幸せな声がほう、と漏れる。彼女のリスやハムスターのように頬を膨らませて頬張る姿は、彼氏の自分が見れる特権で、綾斗は優越感と幸福感に浸った。
「お風呂入れておいたよ。入浴剤は凛の好きな柚」
「何から何までありがとう」
綾斗も仕事で大変だったろうに、凛は何処までも甘やかされて癒される夜。
(私も綾斗を癒してあげたいのになぁ…)
ギブアンドテイクには程遠い本日の2人。
何が一番綾斗が喜ぶのかばかり考えていた。
(マッサージ……は、この前嫌がられたし…。ぎゅー…? でも綾斗、私に触って欲しくなさそうだし…。)
「…………」
(最近…触ってもくれない……)
んー、と思考を巡らせていると、不安そうな瞳で綾斗は見つめてきた。
「凛、ご飯足りない?」
「っ…ううん! ちょうど良い!」
「そう?」
お風呂で考えよう、まずは美味しいオムライスを堪能しよう、そう決めた凛は再び大好物のオムライスを口の中へと運んだ。