人魚姫〜もしも人魚姫と王子様の立場が逆だったら〜【不定期更新中】
「…どうして胸が締め付けられるんだろう」とだけ呟き、人魚は地上に顔を出しました。
そこに、貝殻はありませんでしたが、代わりに文字がありました。
‘貝殻、綺麗です。私はあなたが書いた相手ではないかもしれないのですが、私を見ているから、ここに文字を書いたのですよね。ここは王族のプライベートビーチで、最近ここに来たのは私以外にもいますが、他の方はそんなに何回もは来られていないはずなので。貝殻は頂きました。宝物にしても良いですか? お返事をいただければ、幸いです。’
返事をくれた。
そのことが、人魚にとって嬉しくてたまりませんでした。
彼女は砂をいじっていたのではなく、返事を書いてくれていたのでした。そのことに、人魚はただ彼女の顔を眺めていただけだったので、すぐには気づきませんでしたが。
人魚はすぐさま陸地に上がります。
そしてすぐ隣に文章を書きかけて、消しました。
「今書いたら、あの人に見てもらう前に満潮になって文が消えてしまう…」
人魚はすぐに書きたいことを我慢して、頭の中で覚えておくことにしました。
満潮になっても消えないところまで出ると、誰かに見つかりそうになった時すぐに隠れられませんから。
「明日、書くことにしよう」
人魚は呟いて再び海の中に潜りました。
姉達には、そのにやけた顔を見て即座に悟られ、散々からかわれましたが人魚はうわの空でした。
こうして、彼女との文通が始まりました。
文通は、一日に書くのも読むのも一度きり。
その上読み返せませんし、誰かに見つからないように注意しながらでなければいけません。
それでも人魚にとっては、この上なく嬉しかったのです。
そこに、貝殻はありませんでしたが、代わりに文字がありました。
‘貝殻、綺麗です。私はあなたが書いた相手ではないかもしれないのですが、私を見ているから、ここに文字を書いたのですよね。ここは王族のプライベートビーチで、最近ここに来たのは私以外にもいますが、他の方はそんなに何回もは来られていないはずなので。貝殻は頂きました。宝物にしても良いですか? お返事をいただければ、幸いです。’
返事をくれた。
そのことが、人魚にとって嬉しくてたまりませんでした。
彼女は砂をいじっていたのではなく、返事を書いてくれていたのでした。そのことに、人魚はただ彼女の顔を眺めていただけだったので、すぐには気づきませんでしたが。
人魚はすぐさま陸地に上がります。
そしてすぐ隣に文章を書きかけて、消しました。
「今書いたら、あの人に見てもらう前に満潮になって文が消えてしまう…」
人魚はすぐに書きたいことを我慢して、頭の中で覚えておくことにしました。
満潮になっても消えないところまで出ると、誰かに見つかりそうになった時すぐに隠れられませんから。
「明日、書くことにしよう」
人魚は呟いて再び海の中に潜りました。
姉達には、そのにやけた顔を見て即座に悟られ、散々からかわれましたが人魚はうわの空でした。
こうして、彼女との文通が始まりました。
文通は、一日に書くのも読むのも一度きり。
その上読み返せませんし、誰かに見つからないように注意しながらでなければいけません。
それでも人魚にとっては、この上なく嬉しかったのです。