人魚姫〜もしも人魚姫と王子様の立場が逆だったら〜【不定期更新中】
彼の夢だった、陸上の世界。
彼はついに15歳になり
陸上の世界を見に行けるようになりました。
「お母様、お父様、お姉様…皆さん、僕は行ってきます」
そう言って陸上の世界を見にいくのです。
「わぁ……」
それは、思っていたよりも美しい世界でした。
太陽というものがあり、その光が海を照らし、キラキラと輝いています。
花というものがあり、それはそれは綺麗なものでした。
他にも、人魚は色々なものを見ました。
「陸上の世界って、すごい!」
きっと嫌なことなんてないのだろうと思いました。
陸上を歩くことが夢になっていきました。
けれど、その夢は1人の漁師によって一瞬にして破壊されました。
ある1人の漁師が、海へと歩いて来ました。
その人は、釣り竿などの釣りのグッズなどを持ってきました。
人魚は初めて見る人間に興味津々でした。
そこで、尾ひれが見えない程度に顔を出してみました。
「わっ、…坊や、君…危なくないのかい?」
そんなふうに漁師は聞きました。
人魚は首を横に振りました。
「出てこないのかい?」
「出ちゃダメな決まりなんです」
そう言うと漁師は首を傾げました。