レーセル帝国物語 皇帝陛下に見初められた侍女見習い
序  章《プロローグ》
――とある時代,レーセル帝国に十八(さい)の若さで即位した,美しい女性皇帝がおりました。
先代皇帝である父イヴァン・エルヴァートから皇位を()ぐ形で皇帝となった彼女の()は,リディア・エルヴァ―ト。
彼女は心から愛する男性と結婚し,様々な改革(かいかく)を打ち立てました。
一夫(いっぷ)多妻(たさい)の禁止・政略結婚の廃止・(まず)しい労働階級の人々への減税など。
それにより,帝国はより(ゆた)かになり,内紛(ないふん)もなくなり,人々の心も(おだ)やかになっていきました。


これは,リディア皇帝が統治(とうち)していた時代から二百年後の,レーセル帝国のお話です――。
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